『スマホ脳』はデジタルドラッグによって自己肯定感を失い、情緒や脳機能に悪影響がある現実に警鐘を鳴らす。

Amazonで4000件以上ものレビューがついたベストセラー本。

それだけ「スマホ依存は良くない」と思っている人が多いのでしょう。

アンデシュ・ハンセン (著) 新潮社 2020/11/18

スティーブ・ジョブズが子供にiPhoneを持たせなかったエピソードは有名だと思います。これは大手食品メーカーの家庭の子どもには、添加物てんこもりの自社食品を食べさせないことに似ています。

理由はシンプル、長時間の依存の結果、将来アホになるか不健康になるか、あるいはどちらもだから。

著者によると、「スマホは最新のドラッグ」であるという。新たなメッセージやSNS上の新たな「いいね」が刺激や報酬となり、そこから抜け出せなくなる。

そうなると承認欲求を外側に求めることが多くなり、その帰結として自己肯定感は低くなってゆく。

SNSを通じて常に周りと比較することが、自信を無くさせているのではないか。まさにそうなのだ。フェイスブックとツイッターのユーザーの3分の2が「自分なんかダメだ」と感じている。何をやってもダメだーーだって、自分より賢い人や成功している人がいるという情報を常に差し出されるのだから。特に、見かけは。

個人的にはもともとスマホやSNSとは距離を取っていたものの、この本を読んでさらに遠ざけようと思うようになりました。

こうしてPCに向かっているとき、スマホは隣の部屋に置いています。寝るときアラーム代わりに置くお古のスマホは機内モードにしています(これで電磁波の害も防げる)。

また近くへの外出であれば、あえてスマホを家に置いていくこともあります。ちょっとした調べ物を思いついたときは不便ですが、かといって大きく困ることはありません。紙にメモしておいて、帰宅後に調べれば良いのですから。

このブログでは現段階で映画レビューが多いですが、わざわざ映画館で観る最も良い点は「スマホを見なくて済む」ということ!スマホがあるとついつい新着メールなど無駄に確認してしまいますからね。

特に子どもは「デジタルネイティブ」であるため、逆にうまく使いこなせる子もいるかもしれないが、おそらく多くは依存していることすら気づかずスマホを触っていることでしょう。

ただ、例えばホリエモンはずっとスマホで情報収集しているらしいので、一概にスマホが害悪とは言いません。

けれども、彼は単なる暇つぶしではなく事業目的や知的好奇心で情報収集しているわけで、目的なくスマホをダラダラ見れば脳の報酬系をハッキングされた「スマホ脳」になるのは間違いないですね。

本書は特に目新しい内容ではなく、他にも多くの識者がスマホ依存に警鐘を鳴らしていますが、一通り読んでとにかくわかりやすいと感じました。

アンデシュ・ハンセン (著) 新潮社 2020/11/18