『さがす』は意外な展開をたどるサスペンス映画。自殺や介護などの社会問題についても考えさせられる。

全体的にスリリングな展開で面白かったです(ただしラストシーンは少し不十分な印象が残りました)。

大阪の西成が主な舞台で、大阪人の人懐っこい感じが描かれているのが良かったですね。

また西成の貧困や雑駁とした(しかし人間臭い)雰囲気も描かれており、このあたりは韓国映画の『パラサイト』と重なりました(なお、本作の監督さんは『パラサイト』の監督さんの助監督を務めたことがおありとのこと)。

本作はある父娘、そして殺人鬼の3名を中心に描かれています。この3人とも個性が強いし他の脇役の方の演技もクセがあって良いので、最後までダレることなく観れました。

個人的には殺人鬼の目つきや性癖がヤバい(褒め言葉)と感じました。たぶん口癖であろう「そこから先は有料コンテンツだね」のセリフは、自分もどこかで使ってみたい。

序盤で主役の父親が疾走するので、たぶん父親を「さがす」のだろうなと思っていると、意外な方向に展開してゆく・・・サスペンス要素が入るので、そういうのが苦手な人はおすすめしません。

本作では自殺や介護に関する社会問題が描かれており、かなり重たいテーマです。

難病や事故や老いによって体の自由がなくなっても寿命まで生き続けることは、果たして幸福と言えるのだろうか?

この「答えがない問い」に対して本作は「ある答え」を提示しているのですが、それは本当に「善」なのだろうか? ということをさらに問うてきます。

惜しいのは、殺人鬼のサイコっぷりに時間を割いた反面、娘役の伊東蒼さんが中盤からほとんど出ないため、最後の父娘のシーンで娘が「さがしたもの」の描かれ方が唐突に感じてしまったこと。

「どうしてそれをさがせたの?」という説明がもう少し欲しかった。

『じゃりン子チエ』のテツとチエのような、仲が悪いようで実はめっちゃ親子愛あふれる二人なので、そこを細やかに描いてほしかったな。

とはいえ、最後のシーンのあの「応酬」は絵としてはなかなか良かったです。