ロッキーは1作も観たことがなく興味がなかったのですけど、「素晴らしい映画」というレビューを聞きつけたので、最初から「4」はどうかと思いつつも観ました。
いやー、めちゃくちゃ良かったわ。
たまたま映画館が「爆音上映」だったこともあり、拳と拳がぶつかる音がバチィッ!、パンチが入る音がドゴォッ!バンッ!ってまるでリング前にいるかのように響いてくる。
さらに、ロッキーのサントラは映画界の中でも10本の指に入るそうで、ロッキー童貞の自分でも知っている曲が、絶妙なタイミングで流れてくる。
公開当時は米ソの冷戦時代だったこともあり、ソ連サイドのドラゴが心を持たないサイボーグのような描かれ方をされていたらしい。
けれども、今回の再編集にあたっては、ドラゴの人間的な部分、国からの半端ないプレッシャーに押しつぶされそうになっている葛藤がほの見えるような、よりヒューマンドラマにシフトしたようです。
公開当時は見ていないけど、そういう問題意識を持って観ていると、なるほどそうだなと思える。
いやー、ほんと男臭い映画。
妻のエイドリアンがロッキーの戦いを止める。
でも、ロッキーは「君の言うことが正しい」と言いながらも、アウェイであるソ連に行く。
なぜ、男は負けるかもしれない闘いに、それでも挑むのか。
この想い、時代錯誤な表現を承知で言えば、女にはわからないのかもしれない。
私たちは格闘技に触れると、良くも悪くも「原始的な本能」に目覚めるようですね。
だから格闘技の人気は衰えないし、ショービジネスにもなる。
それはともかく、最も美しいと思ったのは、拳と拳をぶつけ合っているうちに、それまで上から目線でロッキーを挑発していた殺人マシーン・ドラゴが純粋に「悔いなく戦い合おう」と口にするところ。
そして、ネタバレになるからこれ以上言わないけど、この純粋さが会場にも広がっていき・・・
米ソ冷戦の代理戦争という政治的立場を超越した「人間の真実」というものを感じ、90分程度の短さなんだけど、手に汗握る濃密な時間でした。
可能であれば、できれば映画館で観るのがオススメ。