『ヴィレッジ』はムラ社会の陰鬱さを描く胸糞悪い作品だけど、深く考えさせられる良作。

もう二度と観たくない。重い。胸糞悪い。でも良い作品でした。

当ブログにはレビュー載せてないけど、『ヤクザと家族』を撮った藤井道人監督の作品だから、観ないわけにいかないだろと思って観た。

本作とテイストは違うけど、まずは『ヤクザと家族』を観た方がいいですね。

『ヤクザと家族』よりはるかにダークだった・・・一つも救いがないんだから。

黒木華さん演じる美咲の存在が唯一安らぐところですが、それも一瞬だもんね・・・

「ヴィレッジ」のタイトル通り、ムラ社会の嫌なところをこれでもかと詰め込んでいる。

私、子供の頃からムラ社会的な空気が嫌いなので、個人的に相性が悪すぎた(笑)

以前勤めていた会社(これもよく考えれば立派なムラ社会)の嫌な思い出も蘇ったし・・・

途中「この村に”パワハラ”なんかねーよ」というセリフが出てくる。

それはパワハラがないんじゃなくて、「パワハラという概念」はこのムラの中には存在しないということ。

独自の閉鎖的なルールが息苦しい若者はムラを出ていく。

一方、まるでDVの被害者のように、嫌だとわかりつつもそこから抜け出せない者もいる。

ムラの中で権力を振るっている人間も、その狭い世界の中でしか生きる術がない意味では、全員が自縄自縛になっている・・・あぁイヤだこんな世界。

本作は「能」の『邯鄲(かんたん)の枕』がモチーフになっています。

貧乏で立身出世を望んでいた盧生という青年が、趙の都、邯鄲で呂翁という仙人から、栄華が意のままになるという枕を借り、うたたねをしたところ、富貴をきわめた五十余年の夢を見たが、覚めてみると炊きかけていた粟(あわ)がまだ煮えないほどの短い間であったという、沈既済撰「枕中記」の故事。

『邯鄲の枕』あらすじ

能は観る人によって見え方が変わる。

そのときの自分の心を映し出す。

能面は角度によってさまざまな表情に見える。

また、自分の感情を隠すところもある。

個人の感情が抑圧されるムラ社会において、人々はみんな「能面」をつけている・・・

最近たまたま能を観たばかりだったのもあり、味わい深いモチーフでした。

胸糞悪い作品ですが、逆から言えば役者さんの演技がみんな素晴らしかったということ。

横浜流星さん主演の映画は初めて観ましたが、彼はただのイケメンではない素晴らしい役者です。

公式サイト