『Winny』は天才プログラマーの冤罪から無罪に至るまでの弁護団の奮闘、そして警察組織の腐敗を描く。

「日本式システム」の陰湿な部分を浮き彫りにした良い映画でした。

上の予告編の冒頭にある

『ナイフで人を刺したヤツは有罪になるのは当然だが、ではナイフを作った職人まで有罪になるのか?』

というセリフがすべてを表しています。

内容は事実をベースに淡々と進行し、特に激しいアクションやロマンスは皆無。

それでいて胸が静かに熱くなるものを感じるのは、一人の天才技術者の生命を不当な逮捕から守る壇弁護士(三浦貴大)の正義感があるからでしょう。

本作の主役はWinny開発者の金子勇(東出昌大)ではなく壇さんですね。

それと、東出昌大さんの演技は、金子さんの身内の方に「まるで本人が生きているみたい」と言わせるほど神がかっていました。

本作で掛けていたメガネは金子さんご本人のものらしい・・・東出さん自身、過去のスキャンダルで叩かれた自分をそこに重ねたというから、あの体験は100パーセント褒められるものではないだろうけど、役者としてはプラスにもなったのでしょうね。

この映画を通じ、警察や裁判官がIT技術にいかに無知であるか、そして最近も有名な「袴田事件」がニュースに出ていましたが、冤罪の怖ろしさがよくわかります。

まぁ自分は今のところ不当逮捕される可能性は限りなく低いですが、もしそんなことがあったら「取り調べでは何をしてはいけないのか」がよくわかります。

そういえば以前「税務調査にはどう応じればいいか」という内容の記事を読んだことがあるのですが、そこでは「わからないことに対してはイエスもノーもハッキリ言ってはいけない」とのこと。

国税庁の役人は巧みな質問を仕掛けてくるらしいのですが、それをうまく乗り切るために想定問答のロールプレイングまでするらしい。

まぁ本作には関係のないことですが、ちょっと知っているだけで有利に物事が展開することがあり、逆に言えば無知を突つかれて不当に傷つけられる側面を持つのがこの社会だということ。

Winny事件は、最終的には無罪判決で終わります。

最終結果はわかってはいるが、そこに至るまではどんな戦いがあったのか。

そして、Winny事件と一見関係ないものとして描かれる「愛媛県警の裏金事件」がどう絡んでくるのか。

この裏金事件によって、司法や警察への不信感がより掻き立てられる内容になっています。

多くの日本人は比較的、司法や警察を信用しているのでしょうけど、もう少し深堀りすると非常識な司法判断や国家権力の腐敗が見えてきます。

それとマスコミによる一方的な情報の偏りによって、本当は無罪の人間を悪魔に仕立てることもできる(本作の中で警察とマスコミの癒着が示唆されているシーンがありました)。

いずれにしても、金子勇という天才プログラマーを不当逮捕し、その生命を毀損させたことで、その後の日本のIT技術は世界に遅れを取ってしまったと言えるのではないでしょうか。

ハッカーは悪にも使えるけれど、ホワイトハッカーとして善用することもできる。

日本の未来のためにも、技術者に対してはもっと敬意を持つべきですね。

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