『碁盤斬り』は武士の復讐劇を実直な人間ドラマに昇華させた傑作。

久々に映画を観たので簡単にレビューします。

白石和彌監督の作品は欠かさず見ていまして、当ブログでは過去に『死刑にいたる病』を紹介しています(ブログでは紹介してませんが『孤狼の血』もおすすめ)。

武士道における「敵討ち」は現代の価値観からすればアウトですが、個人的には共感しています。

本作の中で

「無念を晴らす」

「汚名を雪(そそ)ぐ」

「本懐を果たす」

という好きな言葉が聞けただけでも満足です。

『碁盤斬り』というタイトルの意味は最後にわかるのですが、そこに込められた「情け」がいい。

武士道や「義理・人情・浪花節」の世界が好きな人は、本作はおすすめ。

草彅剛の演技はもちろん良いのですが、個人的には國村隼が主役ではないかと思いました(彼が出る映画は間違いない)。

「囲碁を通じて自分の未熟さを自覚し、そして人格的に成熟する」という展開はなんともわかりやすいものではあります。

ただ、相撲もそうですけど「ただ勝ちゃいいってもんじゃない」「清く美しく勝たねばならない」というのは、まさに武士道です。

決して単純な「勧善懲悪」を描いていないところは白石監督らしい。