まあまあ面白かったですね。
『テネット』で主演だったジョン・デヴィッド・ワシントンが本作でも主演。
彼の存在感は全くストレスにならず、決して親の七光りではないことを証明しています。
他のSF作品では「AIが暴走して人類を支配する」のがベタな展開だけど、本作ではむしろディープラーニングを重ね、感情はもちろんのこと「矛盾」まで学習した人間的なAIが描かれています。
「ニューアジア」というベトナムっぽい舞台では、人間とAIが仲良く共存している光景が描かれていて、もはやAIは「人種の一つ」のようで、もちろん “人権” もあるに違いない。
それにしても、アメリカがわかりやすい悪として描かれているのが面白いですね。
ネタバレになるから言わないけど、アレをアレのせいにしてニューアジアに攻め込んでくるのは言い掛かりもいいところであって(今のアメリカと全く同じ)、本作ではAIの方こそ「善良な人間」なのです。
神に祈りを捧げる敬虔なAI宗教家の姿は、まさに人間そのもの。
人間は「愛と悲しみを抱えて生き、神の崇高さを求める存在」であって、たとえAIであってもその条件を満たしているなら、それが人間なのだと思います。
ストーリーとしてもまあまあ面白かったですけど、個人的には「AIの存在意義」を考えさせられた映画でした。