現代の日本人が忘れている「名誉心」を思い出せてくれる、悲しくも美しい物語。
著者は前に紹介したことのあるHEAVENESE(ヘブニーズ)のリーダー石井希尚(マレ)さん。
もう絶版になっていましたが、運良く近くの図書館にあったので借りて読みました。
あらすじは以下の通り。
名誉のため、真の愛国のため、絶世の美貌を持ちながらも異人(外国人)に身はもちろんのこと、魂は断じて売るまいと決然と自死を選ぶその姿は、まさに武士道そのもの。
「露をだに 厭うやまとの女郎花(おみなえし) ふる亜米利加に 袖はぬらさじ」
露に濡れることさえ厭うやまとの女は、たとえ身を売る遊女であろうと、アメリカ人の客となって身を汚し袖を涙で濡らすより、死を選ぶ。
貧困から苦海(遊女の世界)に入るしかない運命であっても、その魂は「やまとの国」を欧米列強から守らんとする祈りを忘れなかった。
それから約150年経った現在でも、同じく強欲グローバリズムの侵食を当時よりずっと巧妙な形で受けている。
武士道を忘れ、歴史を忘れた現代の日本は、このままではなされるがまま。
再び立ち上がるためには、民族の意識の底辺に流れているはずの「魂」を、思い起こさねばならない。
生死を超えた価値を、見据えなければならない。
この小説を読んで、そんなことを感じた。