映画『ヘルドッグス』はマンガチックな設定は大目に見て、ともかくクライム・エンターテイメントを楽しむべし。

最近ヤクザ映画が好きになってきたこともあり、映画『ヘルドッグス』を観ました。

結論として、面白くないことはなかったけど、また観たいとは思いませんでした。

岡田准一さんのアクションはカッコいいんですけどね。

自分は『孤狼の血』『死刑にいたる病』の白石和彌監督のようなリアルかつギリギリの作風が好きなのかもしれません。

それに比べ、本作はマンガチックな感じがしました。

まず、岡田准一さんが無敵すぎる。葛藤をあまり感じない。

警察の差し金で犯罪組織に潜入し、あっという間にスピード出世してしまう姿は、どう見てもリアリティがない(警察の差し金なのに何人も殺してしまうのはどうなのか?)。

「これはマンガなんだ」という前提があれば納得できるけど。

坂口健太郎さん演じる「サイコボーイ」っぷりも、白石作品に出てくる「ガチの狂人たち」からすれば薄れてしまう。

まさかのお笑いコンビ「はんにゃ」の金田哲が出ていたのは意外だったけど、ヤクザ組織のナンバー2の貫禄はなく、あの金田のイメージゆえにチンピラに見えてしまう(汗)

吉原光夫さん(元・劇団四季)の演技はすごく良かったけど、やはり「本職」である歌唱シーンが映えすぎて、ここもマンガに見えてしまう。

ギタリストMIYAVIさんも良い演技だとは思うけど、やっぱりマンガチック。

大竹しのぶさんはさすがの安定感だし、松岡茉優さん演じるキャラクターも魅力的でした。

ただ、それぞれの人間関係のつながりがよくわからなくて、それを理解する前に終わってしまった。

「このキャラクターは実は●●でした、裏の顔は●●でした」という設定、たぶん肌に合わなかったのでしょう、いまいちピンと来ませんでした。

本作はおそらく深い心理描写を見せようとは意図しておらず、キャッチコピーにある通り「クライム・エンターテイメント」を楽しむものだと理解すれば、それなりに納得がいく。

好き嫌いが分かれる映画のようですが、自分は好きでも嫌いでもありませんね。

岡田准一さんがカッコいいことを再確認した作品でした。

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