『ゴースト・フリート』は現代の犯罪的な奴隷労働と、その解決を願い果敢に行動する活動団体を描く。

ゴースト(GHOST)は「幽霊」、フリート(FLEET)は「艦隊・船団」という意味。

よって『ゴースト・フリート』は「幽霊船」という意味だと理解しました。

これは予告編と公式ページの説明を見た方が早いですね。

以下、公式ページから引用。

<奴隷労働5年、7年、12年…今日も東南アジアの海で「海の奴隷」が私たちの食卓に並ぶ魚を捕っている。>

あなたの買っているシーフードやペットフードは「海の奴隷」が捕ったものかもしれない。信じられないかもしれないが、現代も奴隷が存在し、世界有数の水産大国であるタイには、人身売買業者に騙されるなどして漁船で奴隷労働者として働かされている「海の奴隷」が数万人存在するといわれている。

日本は決して無関係ではない。日本はタイの水産物輸入で世界第二位で、ツナ缶やエビなどを輸入している。キャットフードの約半分はタイ産だ。安さの裏側で犠牲になっている人々が存在する。

本作は、タイの漁船から離島に逃げた人々を捜索し、救出すべく命がけの航海に出るタイ人女性、パティマ・タンプチャヤクル(2017年ノーベル平和賞ノミネート)たちの活動を追う。

奴隷労働5年、7年、12年──。ミャンマー、ラオス、カンボジアなど貧困国から集められ、売り飛ばされた男性たちをパティマたちは救うことが出来るだろうか?

映画本編は、上の予告編動画と要約文の通りでした。

言い換えれば、「意外な展開」や「どんでん返し」はありません。

ただただ、「現代の残酷な奴隷制度」が描かれていました。

水産企業にとっては人件費ゼロでボロ儲け、男性を拉致して8万ドルで売り飛ばす闇ブローカーもボロ儲け、警察も賄賂で信用できない(むしろ企業やブローカー側の味方)。

描かれてはないけど、おそらく国(本作ではタイ)の政治もダークマネーに汚染されているのではないか?

何が「SDGs」だバカヤロー。

それを心の底から救いたいと念じて活動しておられる本作主人公のパティマ・タンプチャヤクルさんは、「現代のマザーテレサ」のお一人と言っても過言ではないでしょう。

ツナ缶を買う気が失せてくる。

安価なキャットフードにもなっているのであれば、動物愛護団体も大いに関心を持つべき。

そんなことを考えさせられる本作にケチをつけるつもりはないものの、願わくば「幽霊船」を動かす水産企業や、闇ブローカーの人間にも突撃していただきたかった。

まぁ、そんなことをしたらリアルに命が危ないのだろうけど・・・

なお、これは「対岸の火事」ではありません。

経済的に凋落し続ける日本が、そのうち辿るかもしれない未来です。

外国資本にこき使われる「現代の蟹工船」が、もしかしたらやってくるのかもしれない。

そんな危機意識をもって観れば、よりリアルに感じられるでしょう。

公式ページ