歌舞伎『プペル~天明の護美人間~』は賛否両論だが、初の歌舞伎体験のきっかけになったのは間違いない。

歌舞伎『プペル~天明の護美人間~』を新橋演舞場で観てきました。お恥ずかしながら、初めての歌舞伎。

「えっ、これが早変わり?」「あ、主役クラスが出たら拍手するのがお約束みたいだな」「花道って良い席じゃないと見えないのか~(今回は下から二番目の6000円の席)」などわからない部分があったものの、歌舞伎に触れることができて良かったです。

お囃子や太鼓とか「イヨーッ!」っていうかけ声(たぶん専門用語があるはず)などの音響をリアルで体感できたのも良かった。事前に収録した方がコストダウンになるんでしょうけど、やっぱり生じゃないとダメなんでしょうね。

『えんとつ町のプペル』が元ネタなので、観客にはファミリー層がちらほら見えました。私も含め、ガチな古典歌舞伎だったらたぶん行ってないでしょうね。多くの新規客の足を運ばせたという意味で、原作者の西野亮廣、恐るべし。そして、西野さんにプペル歌舞伎をやりたいと声をかけた市川海老蔵(めっちゃカッコ良かった!)の意欲も素晴らしい。

最初にプペル歌舞伎のニュースが流れたとき、ネットでは「海老蔵、終わった」「やってしもたwww」「西野、また調子に乗ってる」みたいなネガティブコメントが結構あった印象でした。ところがどうだ、これがなければ少なくとも自分は歌舞伎に一生触れなかったでしょう。そして触れた結果、「歌舞伎、けっこうええやん。また機会あったら行こうかな」とまで思えるようになりました。

プペル歌舞伎初日をレポートしたネット記事(最後に載せます)には「海老蔵、古典やれよ」というコメントがあった。ただ聞くところによると、その古典歌舞伎の席は空席ガラガラらしい。今回行った日は9割弱ぐらい埋まっていた。なるほど、皮肉にも「古参」が伝統芸能を衰退させるのかもしれません。

古典だけでは新規客がつかない。新作だけでは新規客はつくかもしれないけど、古典の良さは継承されない。たぶんバランスが大事なんでしょうけど、まずは観る機会がなければ何も始まらない。

例の感染症で年配客がなかなか足を運ばなくなった中、歌舞伎界も大変でしょう。そんな中、今回の試みはいろいろ批判はありますけど個人的には良かったと思います。

【参考記事】

演劇記者が見た新作歌舞伎「プペル」初日「歌舞伎の新たな可能性を感じ、古典の魅力を再認識」