『凶悪』(2013):ピエール瀧とリリー・フランキーのサイコパスな暴力に、ただただ震える。

・ピエール瀧とリリー・フランキーが悪役を演じたらどれほど怖いかがよくわかる映画。

・どの人間の内側にも「凶悪」が潜んでいることを問いたい作品だったのかもしれないが、上の2人のキャラがあまりに強烈すぎてイマイチ伝わってきませんでした。

・特に山田孝之演じる主人公の行動の動機があまり掴めなかった。復讐心の入り混じった正義感に駆り立てられ、家庭を犠牲にしてでも取材を最優先してしまうのはなぜなのか、よくわからない。それだけ「凶悪」に取り憑かれてしまったのでしょうか。

・ただ、借金返済のために身内に保険金をかけて殺そうとするある家族のシーンは、一見地味だが本当に恐ろしい。普段は普通に生きる人間でも、条件が揃えば「凶悪」に変わってしまうのでしょう。

・白石和彌監督の作品は全体的に好きなのだが、本作については暴力シーン以外はあまり印象に残らず。犯罪者との面会シーンでのカメラワークは、『死刑にいたる病』(2022)でも使われていましたね。