アマゾンプライムで視聴。映画というよりテレビドラマのような構成。30分枠・全4回みたいな。
映像が美麗であること、そこまで残虐なシーンがないので、強制収容所・シベリア抑留の悲惨さはそこまで伝わってこなかった。
ただ、主人公・山本幡男の極限状況でも最後まで希望をあきらめない姿は、素直に感動する。
山本が息子たちに語る。
「最後に勝つものは道義であり、誠であり、真心である。立身出世などどうでもいい」
この言葉の通りに生きた山本の姿は、死ぬ方がよほどラクだったに違いないシベリア抑留生活において絶望に打ちひしがれる同胞の心に勇気を与えた。
他の戦記によれば、ソ連兵に好かれるためか、あるいは山本のような道義心がなかったからか、シベリア抑留において共産主義に宗旨変えする者もいたという。
それは本作でも少し触れられていた。
重労働と貧しい食事しか与えられない中、もし自分であればコロッと思想を変えていたかもしれない。
ただ、実話として山本のように最後まで人間としての真心を失わなかった者もいたのだ。
それが、まだ75年ほど前のこと。
その少し前のことに過ぎない歴史の記憶を、学校で教えられることはほとんどない。
ゆえに、意図してこういう記録に触れなければ、忘れるどころか、知ることすらない。
その意味で、この映画を見れて良かったと思う。
なお、主要キャストがみんな自分が好きな人たち。特に松坂桃李。
ただ北川景子は美人であることが裏目に出て、浮いてしまっていたが(『ゴジラ-1.0』にも出ていた安藤サクラだったらリアリティがある)。